「大学病院の医者って、年収はどのくらいなの?」
実は、大学病院で働く医者の平均年収は約739万円と、民間病院やクリニックに比べて大幅に低い水準であることが、労働政策研究・研修機構の調査で明らかになっています。
医師免許を取得して長年勉強・研修を続けてきたにもかかわらず、「思ったより稼げない」「アルバイトなしには生活が苦しい」と感じる大学病院勤務医は少なくありません。
この記事では、大学病院の医者の年収が低い本当の理由から、20代・40代・50代の年代別実態、教授・准教授などの職位別データ、さらに転職で年収を大幅に上げた医師の事例まで、ファクトに基づいて徹底解説します。
- 大学病院の医者の平均年収(年代・職位・経営形態別)
- 大学病院の年収がなぜ低いのか、3つの構造的理由
- 慶應・国立大学病院の年収事情
- 大学病院医師がアルバイトで稼ぐ実態
- 転職して年収1,000万円超を実現する具体的な方法
- 年収交渉・転職エージェント活用術
医者の大学病院年収の実態:平均739万円の衝撃
一般的に「医師=高収入」というイメージが強いですが、大学病院に限って言えばその実態は大きく異なります。
独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)の調査によると、大学病院で働く医師の平均年収は739万5,000円とされています。これは、医師全体の平均年収(約1,000〜1,200万円程度)と比較すると著しく低い水準です。
また、年収1,000万円以上の医師の割合も大学病院では約22.9%にとどまり、民間病院や診療所に比べて顕著に少ない状況です。

▲勤務先別に見ると大学病院の年収は最低水準
勤務先別の医師平均年収(参考値)
| 勤務先 | 平均年収(目安) | 特徴 |
|---|---|---|
| 大学病院 | 約700〜800万円 | 研究・教育重視。アルバイト必須の場合多い |
| 民間病院(大手) | 約1,100〜1,400万円 | 臨床中心。当直手当等が充実 |
| クリニック(勤務医) | 約1,000〜1,500万円 | 規模・科目により差大きい |
| 開業医 | 約1,000〜3,000万円以上 | 経営次第で大きく変動 |
※上記は厚生労働省・JILPT等の統計を参考にした目安です。個人差・診療科・地域により大きく異なります。最新情報は各転職エージェントにご確認ください。
大学病院の年収が低い3つの構造的理由
大学病院の医師年収が低い背景には、単なる給与設定の問題ではなく、医療・学術界の構造的な問題があります。主な理由は以下の3つです。
理由①:給与の一部が「研究・教育」に充当されている
大学病院の医師は、診療だけでなく研究・学生指導・論文執筆などの業務を担っています。しかし、こうした研究・教育活動に対する賃金が診療報酬から明確に切り分けられていないため、実質的に「無報酬に近い仕事」を兼務している状況になりがちです。
理由②:医局制度による給与抑制
日本の大学病院では「医局」と呼ばれる組織が根強く残っており、医師のキャリアや勤務先は医局の意向に大きく左右されます。この仕組みにより、医師個人が給与交渉をしにくい環境が形成されてきました。特に若手医師ほどこの影響を受けやすく、20代・30代の給与水準が際立って低い傾向があります。
理由③:国立大学の法人化による予算制約
2004年の国立大学法人化以降、国からの運営費交付金が段階的に削減されており、大学病院の人件費にも影響が出ています。国立大学病院では民間病院に比べて給与の上限が制度的に低く抑えられているケースが多く、これが「国立大学病院=年収が低い」という認識につながっています。
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年代別の大学病院医師年収:20代・40代・50代で何が違う?
大学病院の医師年収は、年代・キャリアステージによって大きく変わります。以下では各年代の実態を詳しく見ていきます。
20代の大学病院医師年収
医師免許取得(初期研修修了)直後の20代前半は、大学病院での給与は月収30〜40万円程度(年収360〜480万円前後)が目安とされています。後期研修医(専攻医)でも年収500〜700万円程度の水準が多く、「医師なのにこんなに安いの?」と驚く方も少なくありません。
この時期は当直業務も多く、時給換算すると最低賃金に近いケースも報告されています。多くの若手大学病院医師がアルバイトで年収を補填しており、アルバイトを含めた実質年収は700〜900万円になることもあります。
40代の大学病院医師年収
40代になると、医局内での地位が上がり講師・助教授クラスに昇進するケースが増えます。大学病院の40代医師の平均年収は概ね900〜1,200万円程度とされており、診療科や役職によって差があります。
ただし、同年代の民間病院医師と比べると依然として低い傾向があります。40代での転職は年収アップの大きなチャンスとなる年代でもあり、実際に転職エージェントへの登録が増加する年齢層です。
50代の大学病院医師年収
50代になると、准教授・教授を目指すキャリアの分岐点を迎えます。教授職に就ければ年収1,200〜1,800万円以上が見込まれますが、教授のポストは非常に競争率が高く、多くの医師がその椅子に就けないのが現実です。
教授になれなかった50代医師の中には、民間病院への転職や独立開業を選ぶケースも多く見られます。50代での転職も、専門性が高い診療科であれば十分に年収アップが見込めます。
慶應・国立・私立大学病院の年収比較

▲40代は大学病院からの転職で年収アップが狙える重要な分岐点
「大学病院」と一口にいっても、国立・公立・私立で年収水準は異なります。また、慶應義塾大学病院などの有名私立大学病院についても気になる方が多いでしょう。
慶應大学病院の医師年収
慶應義塾大学病院は日本有数の私立大学病院で、診療実績・研究実績ともに国内トップクラスです。慶應の医師年収は私立大学の中では比較的高い水準とされており、月給ベースで40〜60万円台(役職・年次による)という情報が見られます。ただし、厳密な公式データは非公開のため、あくまで参考値として捉えてください。
また慶應閥(医局の人脈)は関連病院への影響力が強く、関連民間病院への異動で年収を上げるルートも存在します。
国立大学病院の医師年収
東京大学・京都大学・大阪大学などの旧帝大系を含む国立大学病院では、国家公務員に準じた給与体系が適用されることが多く、給与の上昇カーブが民間に比べて緩やかです。
特に若手(20代後半〜30代前半)の国立大学病院医師の年収は、600〜800万円程度にとどまるケースが一般的とされています。一方、長く勤めることで安定性は高く、退職金や福利厚生での優遇が期待できます。
私立大学病院の医師年収
私立大学病院は運営母体によって給与体系が異なり、経営が安定している大規模私立病院では国立に比べて高い年収が期待できる場合があります。ただし、私立大学の医学部運営コストは高く、大学経営の状況によって年収の差が開きやすいのも実情です。
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大学病院医師の職位別年収:教授・准教授・講師・助教

▲教授まで登り詰めれば年収1,500万円超も。ただし競争は熾烈
大学病院の医師には、病院でのポジション(職位)と大学での役職(アカデミックポジション)が存在します。この職位によって年収は大きく変わります。
教授(Professor)
医学部教授は大学病院における最高職位のひとつで、診療・研究・教育の全てを統括します。平均年収は約1,200〜1,800万円程度とされており、私立大学では1,500万円を超えることもあります。ただし、教授職は全医師のごく一部に限られており、なるまでの競争は非常に激しいのが現実です。
准教授・講師(Associate Professor / Lecturer)
准教授・講師クラスは、教授職への昇進を目指す中堅ポジションです。年収は概ね900〜1,200万円前後とされていますが、大学によって差があります。このポジションになると関連病院でのアルバイト機会も増え、実収入が上がることが多いです。
助教(Assistant Professor)
助教は大学病院における若手医師・研究者ポジションです。基本給は低く設定されることが多く、年収500〜800万円程度が一般的な目安とされています。この時期にアルバイトを複数掛け持ちすることで実質年収を補うパターンが多く見られます。
大学院生(医学博士課程)
医学博士号取得を目指す大学院生(社会人大学院生を含む)の場合、大学からの給与はほとんどないケースもあり、アルバイト(非常勤医師)が主な収入源になることもあります。この時期の年収は200〜400万円程度という現実もあり、医師の中で最も経済的に厳しい時期とも言われています。
大学病院医師がアルバイトで稼ぐ現実
大学病院の給与だけでは生活や将来設計が難しいと感じる医師は多く、多くの大学病院勤務医がアルバイト(非常勤診療)を行っています。
医師アルバイトの相場
医師のアルバイトは、一般的な職業と比較して非常に高い報酬が特徴です。当直アルバイトの場合、1回あたり5〜15万円程度、外来診察のスポットアルバイトで時給5,000〜10,000円前後が相場とも言われています。
週1〜2回のアルバイトを定期的に行うことで、年間200〜400万円以上を上乗せする医師も珍しくありません。大学病院の年収739万円にアルバイト収入を加算すると、実質年収が1,000万円を超える医師も一定数います。
アルバイトのデメリット・注意点
しかし、アルバイトに頼りすぎることにはリスクもあります。
- 身体的負担:本業の大学病院業務に加えてアルバイトをこなすことで、長時間労働・過重労働になりがち
- キャリア停滞:アルバイトに時間を割くことで研究・論文執筆が後回しになり、学術キャリアに影響する可能性
- 医師の働き方改革の影響:2024年4月以降、医師の時間外労働に上限規制が適用されており、アルバイト時間にも制約が生じるケースが増加中
こうした現状を踏まえると、アルバイトに頼る収入補填よりも、転職による抜本的な年収改善を検討する医師が増えているのは自然な流れと言えるでしょう。
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転職で年収を上げる方法:大学病院からの出口戦略
「大学病院の年収に限界を感じている」「もっと稼ぎたいけど、転職でキャリアは大丈夫?」という不安を持つ医師は多いですが、実際に転職した医師の多くが年収アップに成功しています。
大学病院から転職する際の選択肢
大学病院を離れる際の主な転職先と年収の目安は以下の通りです。
| 転職先 | 年収目安 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 民間大病院 | 1,200〜1,600万円 | 症例数が多く、臨床スキルを磨ける | 当直・オンコール負担が大きい場合も |
| 地域中核病院 | 1,300〜2,000万円 | 年収が高く、地方ではさらに優遇されることも | 都市部から離れるケースが多い |
| クリニック勤務 | 1,000〜1,500万円 | ワークライフバランスが改善しやすい | 急性期症例は少なくなる |
| 産業医 | 1,200〜2,000万円 | 当直なし・残業少ない | 産業医資格が必要な場合が多い |
転職成功のための3ステップ
STEP1: 自分の市場価値を把握する
まず医師専門の転職エージェントに登録し、現在のスキル・専門性に対して市場がどのくらいの年収を提示するか確認しましょう。「なんとなく転職したい」ではなく、データに基づいた判断が重要です。
STEP2: 希望条件を明確にする
年収・勤務地・当直回数・診療科・研究継続可否など、自分にとって譲れない条件と妥協できる条件を整理します。特に大学病院からの転職では、「研究を続けたいか、臨床に専念したいか」がキャリアの方向性を大きく左右します。
STEP3: 複数のエージェントを比較活用する
医師転職は1社だけでなく複数のエージェントに登録することで、より多くの選択肢と比較が可能になります。それぞれのエージェントが持つ独自の非公開求人があるため、併用が年収交渉の観点からも有利になります。
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大学病院勤務のメリット・デメリット

▲大学病院はチームで最先端医療に挑める環境が魅力のひとつ
年収だけを見ると大学病院は不利に見えますが、大学病院には他では得られない価値もあります。転職を検討する前に、以下のメリット・デメリットを正確に理解しておきましょう。
大学病院勤務のメリット
- 最先端の医療・研究に携われる:新薬臨床試験や革新的な術式の開発など、最前線の医療に関われる環境
- 症例数・症例の多様性:希少疾患や複雑な症例を経験できるため、専門家としての診断・治療スキルが磨かれる
- 学術的キャリアの構築:論文発表・学会発表・国際共同研究など、学術的な実績を積む機会が豊富
- 安定した雇用:特に国立大学病院は法人化後も比較的安定した雇用環境を維持している
- 医局ネットワーク:将来の開業や関連病院への転勤など、キャリアの選択肢が広がる人脈が形成される
大学病院勤務のデメリット
- 給与が低い:上述の通り、民間病院比で年収が200〜600万円低くなることが多い
- 長時間労働になりがち:診療・研究・教育・事務業務が重なり、実質的な労働時間は長い傾向
- キャリアの流動性が低い:医局制度の影響で、自分の意思でのキャリア変更がしにくい場合がある
- 研究実績のプレッシャー:論文数・被引用数など、アカデミックな評価軸でのプレッシャーが継続的にかかる
- アルバイトへの依存:本業の給与が低いため、アルバイトで補填せざるを得ない状況になりやすい
よくある質問(FAQ)
Q1: 大学病院の医者の平均年収はいくらですか?
A: 独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によると、大学病院で働く医師の平均年収は約739万5,000円とされています。これは医師全体の平均年収(約1,000〜1,200万円程度)を大きく下回る水準です。ただし、診療科・職位・経営形態によって個人差は大きく、アルバイトを含めた実質収入は異なります。
Q2: 大学病院の医者の年収はなぜ低いのですか?
A: 主な理由は3つです。①研究・教育業務に対して十分な報酬が支払われない構造的問題、②医局制度による給与交渉の難しさ、③国立大学の法人化以降の運営費交付金削減による予算制約、です。こうした構造的な問題が積み重なり、大学病院の医師給与は長年低い水準に抑えられてきました。
Q3: 大学病院の医者はアルバイトをしないと生活できないのですか?
A: 生活できないわけではありませんが、多くの大学病院医師(特に若手)がアルバイトを行っているのは事実です。当直アルバイトで月数回こなすことで年収を150〜400万円程度上乗せするパターンが多く見られます。ただし2024年からの医師の働き方改革の影響で、アルバイト時間の管理が厳しくなりつつあります。
Q4: 大学病院から転職すると年収はどのくらい上がりますか?
A: 診療科・年次・転職先によって大きく異なりますが、民間大病院や地域中核病院へ転職した場合、年収が200〜600万円程度アップするケースが多いとされています。特に地方の急性期病院では高収入オファーが出やすく、専門医資格保有者はさらに優遇されることがあります。転職エージェントへの登録で具体的な数字を把握することを推奨します。
Q5: 大学病院の教授になると年収はいくらになりますか?
A: 医学部教授の平均年収は約1,200〜1,800万円程度とされており、私立大学では1,500万円を超えるケースもあります。ただし教授になれるのはごく一部の医師に限られており、競争率は非常に高いです。また、同年代の民間病院勤務医と比較しても特段高いわけではないことも覚えておきましょう。
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Q6: 20代の大学病院医師の月収はいくらですか?
A: 20代前半(初期研修医明け・後期研修医)の場合、大学病院からの基本給は月収30〜45万円程度が目安とされています。年換算では360〜540万円と、一般的な大卒会社員とさほど変わらないレベルになることも。そのため多くの若手医師がアルバイトで収入を補完しています。
Q7: 大学病院を辞めたいと思ったら、まず何をすればよいですか?
A: まず医師専門の転職エージェントに無料相談することをおすすめします。「辞める」と決めなくても情報収集だけでも可能で、自分の市場価値・年収相場・求人情報を知るだけでも今後の選択肢が広がります。在職中の相談は秘密保持が約束されているエージェントを選ぶと安心です。
Q8: 大学病院勤務は転職時に評価されますか?
A: 一定の評価は受ける傾向にあります。大学病院での症例経験・研究実績・専門医資格取得は、転職先からも高く評価されることが多いです。特に希少疾患・難症例の対応経験や、学術論文の業績は医師としての専門性の高さの証明になります。ただし、過度に医局への依存度が高いとみなされた場合は逆効果になることもあるため、臨床スキルのアピールも重要です。
Q9: 大学病院の医師は退職金をもらえますか?
A: 国立大学病院では国家公務員準拠の退職金制度があり、長期勤続者には相応の退職金が期待できます。一方、私立大学病院は法人ごとに退職金規定が異なります。転職を検討する際は、退職金の試算も含めたトータルの生涯収入で比較することが重要です。
Q10: 大学病院勤務のまま年収を上げる方法はありますか?
A: いくつかの方法が考えられます。①定期アルバイト(非常勤診療)で副収入を確保する、②早期に専門医・指導医資格を取得して昇進を狙う、③学術実績(論文・学会発表)を積んで職位を上げる、④大学内の管理職(医局長・診療科長等)に就任して管理職手当を得る、などが挙げられます。ただし根本的な解決策としては転職が最も効果的という声が多いのも事実です。
まとめ:医者の大学病院年収と転職で年収を上げるポイント

▲大学病院の医師年収は一般のイメージより低い現実がある
この記事では、医者の大学病院年収の実態について、年代別・職位別・経営形態別にデータをもとに解説しました。
- 大学病院の医者の平均年収は約739万円で、民間病院比で大幅に低い
- 年収が低い背景には研究・教育業務の無報酬、医局制度、予算制約という構造的問題がある
- 20代は特に低く、アルバイトで年収補填するのが一般的
- 教授職になれば年収1,200〜1,800万円超も可能だが、競争率が高く全員がなれるわけではない
- 転職で民間病院・クリニックへ移ることで、年収200〜600万円アップのケースも多い
- 転職検討の第一歩は医師専門エージェントへの無料登録。まず市場価値を把握することが重要
大学病院での勤務には研究・教育・最先端医療へのアクセスという大きな価値があります。一方、年収面での改善を望むなら、転職という選択肢を早い段階から検討することも一つの賢い判断です。
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この記事に記載の年収データは、厚生労働省・独立行政法人労働政策研究・研修機構等の公的統計および各種調査報告を参考にした目安であり、個人の年収を保証するものではありません。実際の年収は勤務先・診療科・経験年数・地域等によって大きく異なります。転職・キャリアに関する判断は、必ず専門家(転職エージェント等)への相談を経た上でご自身の責任において行ってください。最新情報は各公式サイトでご確認ください。