海外医師免許取得の完全ガイド|アメリカ・ドイツ・フランス等の最新要件2025

海外医師免許取得の完全ガイド|アメリカ・ドイツ・フランス等の最新要件2025

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【2025年最新】医師の海外医師免許取得完全ガイド|国別要件・年収・手続き方法

世界地図と医師のシルエット

海を越えて医師として活躍する。そんな夢を抱いている医師は少なくないでしょう。

しかし、海外で医師として働くためには、どのような準備が必要なのでしょうか。国によって異なる医師免許制度、言語の壁、そして未知の医療環境—これらの課題に立ち向かうには、正確な情報と戦略的なアプローチが不可欠です。

日本の医師免許を持っているだけでは、残念ながら世界中どこでも医師として働けるわけではありません。国ごとに異なる制度や要件があり、その道のりは決して平坦ではないのです。

私は医師転職のキャリアコンサルタントとして、数多くの医師の海外転職をサポートしてきました。その経験から言えることは、海外で医師として働くには主に2つの方法があるということです。

海外で医師として働く2つの主要アプローチ

医師が選択肢を検討している様子

海外で医師として働くためのアプローチは大きく分けて2つあります。

1つ目は「日本の医師免許を活用する方法」、2つ目は「現地の医師免許を取得する方法」です。どちらが適しているかは、あなたのキャリア目標や希望する国、そして時間的・経済的リソースによって異なります。

医師としての専門性を海外で発揮したい。そんな思いを抱いている方に、それぞれの方法の詳細と実際の手続きについて解説していきます。

日本の医師免許で働ける国と条件

日本の医師免許をそのまま活用できる国があることをご存知でしょうか?

二国間協定を結んでいる国では、一定の条件下で日本の医師免許を使って医療行為を行うことが可能です。この協定は、医師不足の解消や医療技術の交流を目的として結ばれています。

二国間協定による医師免許の相互認証

日本と二国間協定を結んでいる国としては、イギリス、フランス、シンガポール、ドイツなどが挙げられます。これらの国では、日本の医師免許で働ける可能性があるのです。

二国間協定を結んでいる国々の地図

しかし、人数がかなり限られていたり、国によって細かく制限があったりするのが現実です。二国協定を結んでいる国同士であっても、日本の医師免許で働くことは狭き門だと言えるでしょう。

例えば、韓国では自分と同じ国籍の患者か同じ言語を話す患者の診察のみに限られるなど、国ごとに制限が設けられていることが多いのです。

国際協力機構(JICA)を通じた海外医療活動

JICAに参加して海外で働く方法もあります。

JICAに参加するためには、仮登録後に研修を受講し、「十分な技術」「積極性や協調性」「コミュニケーション能力」などがあると認められる必要があります。本登録が認められれば、世界各地で医師として活動するチャンスが得られます。

決して簡単な道ではありませんが、国際貢献と自己成長を同時に実現できる貴重な機会です。

国境なき医師団などの民間ボランティア団体

ジャパンハート、国境なき医師団、プロジェクトアブロードなどの民間ボランティア団体に参加して、海外で働く方法もあります。

国境なき医師団の活動イメージ

それぞれの団体ごとに条件が定められており、それを満たした場合は働くことが認められます。例えば、国境なき医師団では英語やフランス語での業務が必須です。応募する際は、募集要件を十分に確認しましょう。

医療を通じて国際貢献したいという思いを持つ医師にとって、これらの団体は貴重な活動の場となります。

海外医師免許取得の国別ガイド

現地の医師免許を取得する道も選択肢の一つです。

国によって取得プロセスは大きく異なりますが、一般的には言語試験、医学知識試験、臨床技能試験などを経て免許が付与されます。ここでは主要国の医師免許取得方法を詳しく見ていきましょう。

アメリカの医師免許取得プロセス

アメリカで医師として働くには、「USMLE」と呼ばれるアメリカの医師国家試験に合格する必要があります。

USMLEは、基礎医学を中心とするSTEP1、臨床医学を中心とするSTEP2(CK)、総合知識と実践が問われるSTEP3に分かれており、アメリカで勤務するにはすべてのSTEPに合格する必要があります。

USMLEの勉強をする医師

日本の医師国家試験と同様、筆記試験(選択式)が基本です。以前は日本のOSCEに該当する実技試験「STEP2 CS」もありましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で中止となり、現在は「OET」という試験に置き換わっています。

OETは4セクション(聞く・読む・書く・話す)に分かれており、筆記で求められる読み書きの能力だけでなく、「聞く」「話す」能力も必要になっています。

USMLEの一部のSTEPは、医学生のうちに受験することもできます。日本で研修医として働き始めてから試験勉強をするのは大変ですから、アメリカで臨床医として働くことを目指している場合は早めに取り組む方が望ましいでしょう。

無事にUSMLEに合格した後は、マッチングを経て各病院で勤務することになります。マッチングは日本同様、就職面接に該当するプロセスです。

EU諸国の医師免許取得方法

EU諸国、特にドイツやフランスでは、医師免許取得のプロセスが独自の特徴を持っています。

ドイツでは、医師として働くためには高いレベルのドイツ語能力(TestDaF、Goethe、telc、DSHのB2レベル以上)が求められます。また、州政府保健局による資格審査と6ヶ月~12ヶ月の監督下での実務経験(適応期間)が必要です。

ドイツの病院で働く医師

ドイツでは高齢化による医師不足が深刻化しており、特に旧東ドイツ地域では海外資格保持者への門戸が開かれています。一般的な熟練労働者向けのFast-Track手続きが2020年から存在しており、これは医師を含む専門職の入国手続きを迅速化するものです。

ドイツは言語障壁が高いものの、一度資格を取得すれば社会保障制度が充実しており、長期的なキャリア構築に適しています。初年度平均年収は約€48,000~€65,000(約770万円~1,040万円)です。

フランスでは、高いレベルのフランス語能力(DALF C1レベル以上)、保健省による資格審査、そして6ヶ月~18ヶ月の適応インターンシップが求められます。

フランスでの就労は言語要件が厳しいですが、フランス語学習と並行して歯科技工士や歯科衛生士として経験を積みながら資格取得に成功した例もあります。公立病院所属の医師の初年度平均年収は約€49,000~€55,000(約780万円~880万円)です。

アジア・オセアニア地域の医師免許取得

シンガポールやオーストラリアなど、アジア・オセアニア地域の医師免許取得方法も見ていきましょう。

シンガポールでは、シンガポール医療評議会(SMC)による資格審査と英語能力証明が必要です。また、シンガポール医師免許試験(PLAB)に合格する必要があります。

オーストラリアでは、オーストラリア医療評議会(AMC)による資格審査、英語能力証明(IELTS 7.0以上)、そしてAMC試験(筆記と臨床)に合格する必要があります。

これらの国々は英語圏であるため、言語の壁は比較的低いと言えますが、試験自体の難易度は高く、十分な準備が必要です。


医師免許の国際的な相互認証システム

医師免許の国際的な相互認証システムについても理解しておきましょう。

世界保健機関(WHO)や世界医学教育連盟(WFME)などの国際機関が、医学教育の質保証や医師資格の国際的な標準化に取り組んでいます。

WHO認証と国際的な医学教育基準

WHOは世界中の医学部を評価し、一定の基準を満たした医学部をWHO Directory of Medical Schoolsに掲載しています。この掲載は、その医学部の教育が国際的な基準を満たしていることの証明となります。

国際的な医学教育基準の概念図

日本の医学部はWHO認証を受けていますが、海外の医学部を卒業した場合、その医学部がWHO認証を受けているかどうかが、日本の医師国家試験受験資格を得る上で重要な要素となります。

WHO認証を受けていない医学部を卒業した場合、日本の医師国家試験受験資格を得るのは非常に困難になります。

EU医師指令と域内での医師免許の相互認証

EU内では、EU医師指令(Directive 2005/36/EC)に基づき、加盟国間で医師免許の相互認証が行われています。これにより、EU加盟国の医学部を卒業し医師免許を取得した医師は、原則として他のEU加盟国でも医師として働くことができます。

ただし、言語要件など、国ごとに追加の条件が設けられている場合があります。例えば、ドイツで働くためには、ドイツ語の能力証明が必要です。

EU医師指令は、医学教育の質保証と医師の移動の自由を促進するための重要な枠組みとなっています。

海外医師免許取得のための実践的ステップ

海外で医師免許を取得するための具体的なステップを見ていきましょう。

計画的な準備と戦略的なアプローチが、成功への鍵となります。

語学力の強化と医療専門用語の習得

海外で医師として働くためには、高いレベルの語学力が不可欠です。一般的な会話能力だけでなく、医療専門用語の習得も必要となります。

医療専門用語を学ぶ医師

英語圏の国であれば、IELTS(International English Language Testing System)やTOEFL(Test of English as a Foreign Language)などの英語能力試験で高スコアを取得することが求められます。

非英語圏の国では、その国の言語能力試験に合格する必要があります。例えば、ドイツではTestDaFやDSH、フランスではDALFなどの試験があります。

医療専門用語の習得には、その国の医学教科書や医学論文を読むことが効果的です。また、オンライン医療英語コースなども活用できます。

語学力の強化は時間がかかるプロセスですので、早めに取り組むことをお勧めします。

必要書類の準備と認証プロセス

海外で医師免許を取得するためには、様々な書類の準備と認証プロセスが必要となります。

一般的に必要となる書類には以下のようなものがあります:

  • 医学部卒業証明書

  • 成績証明書

  • 日本の医師免許証

  • 臨床経験証明書

  • 推薦状

  • 語学能力証明書

これらの書類は、多くの場合、公証人による認証や、アポスティーユ(公文書の国際的な認証)が必要となります。また、現地の言語への翻訳も求められることが多いです。

認証プロセスは国によって異なりますので、事前に詳細を確認し、十分な時間的余裕を持って準備することが重要です。

試験対策と実地研修の重要性

海外の医師免許試験に合格するためには、体系的な試験対策が必要です。

多くの国では、医学知識を問う筆記試験と臨床技能を評価する実技試験があります。これらの試験に備えるためには、専用の対策教材や予備校の利用が効果的です。

また、実地研修(クリニカルエクスポージャー)も重要です。可能であれば、目標とする国の医療機関でのインターンシップや見学の機会を得ることで、その国の医療システムや臨床プラクティスに慣れることができます。

試験対策は計画的に行い、十分な時間をかけて準備することが成功への近道です。

海外医師免許取得後のキャリアパス

海外で医師免許を取得した後のキャリアパスについても考えておきましょう。

海外での経験を活かして、グローバルな医師としてのキャリアを構築することができます。

海外での専門医資格取得と研究機会

海外で医師免許を取得した後、さらに専門医資格の取得を目指すことも可能です。

例えば、アメリカでは各専門分野のボード試験に合格することで専門医資格を得ることができます。EU諸国でも同様に、各専門分野の認定試験があります。

また、海外の医療機関や研究機関での研究機会も豊富です。特に、アメリカやEU諸国では、臨床研究や基礎研究の環境が整っており、キャリアアップの選択肢が広がります。

海外での専門医資格や研究経験は、グローバルな医師としての価値を高める重要な要素となります。

日本と海外を行き来するデュアルキャリアの構築

日本と海外の両方で医師として活動する「デュアルキャリア」の構築も選択肢の一つです。

日本と海外の両方で医師免許を持つことで、両国の医療システムの良い点を取り入れた診療を行うことができます。また、国際的な医療ネットワークを構築することで、患者紹介や医療情報の交換など、様々な面でメリットがあります。

デュアルキャリアを構築するためには、両国の医師免許の更新要件や継続教育の要件を満たす必要があります。計画的なキャリア管理が重要となります。

日本と海外を行き来する医師としてのキャリアは、グローバルな視点と専門性を兼ね備えた、独自の価値を持つものとなるでしょう。

海外医師免許取得の成功事例と失敗から学ぶ教訓

実際に海外で医師免許を取得した方々の事例から、成功のポイントと避けるべき失敗を学びましょう。

アメリカでの医師免許取得成功事例

Aさん(35歳、内科医)は、日本の大学病院で5年間の臨床経験を積んだ後、アメリカでの医師免許取得を目指しました。

まず、USMLE STEP1と2の勉強を日本で行い、両方に合格しました。その後、アメリカの病院でのオブザーバーシップ(見学)の機会を得て、アメリカの医療システムに慣れる時間を持ちました。

レジデンシー(研修医)プログラムへの応募では、自身の専門分野での研究実績と論文発表が評価され、複数のプログラムからオファーを受けることができました。

レジデンシープログラム修了後、USMLE STEP3に合格し、晴れてアメリカの医師免許を取得。現在は、アメリカの大学病院で内科医として活躍しています。

Aさんの成功のポイントは、計画的な試験対策、研究実績の構築、そしてアメリカの医療システムへの早期の露出でした。

2025年7月1日からUSMLE STEP2 CKの合格点が214点から218点に引き上げられました。

失敗から学ぶ:海外医師免許取得の落とし穴

一方、Bさん(40歳、外科医)の事例からは、避けるべき落とし穴を学ぶことができます。

Bさんは、日本での忙しい臨床業務と並行してUSMLEの勉強を始めましたが、十分な時間を確保できず、STEP1に2回失敗しました。また、英語力の強化も後回しにしていたため、医療英語でのコミュニケーションに自信が持てませんでした。

結果として、レジデンシープログラムへの応募が遅れ、希望する専門分野でのマッチングができませんでした。

Bさんの事例から学べる教訓は、十分な準備期間の確保、語学力の早期からの強化、そして現実的な目標設定の重要性です。

海外での医師免許取得は、綿密な計画と十分な準備があってこそ成功するものです。先人の経験から学び、自分自身の道を切り拓いていきましょう。

医師転職と海外医師免許取得のためのリソース

海外での医師免許取得を目指す方々のために、役立つリソースをご紹介します。

推奨される教材と学習リソース

海外の医師免許試験対策には、以下のような教材や学習リソースが役立ちます:

  • USMLE対策:First Aid for the USMLE Step 1/2/3、UWorld Question Bank

  • 医療英語:Medical English、Oxford Handbook of Clinical Medicine

  • オンラインコース:Kaplan Medical、USMLE-Rx

  • アプリ:Anki(医学用フラッシュカード)、Osmosis

また、各国の医師免許試験の公式ウェブサイトでは、試験の最新情報や対策資料が提供されていることが多いです。定期的にチェックすることをお勧めします。

サポート団体と情報交換コミュニティ

海外での医師免許取得を目指す方々をサポートする団体やコミュニティもあります:

  • 日本医師会の国際医療協力部門

  • 各国の日本人医師会(例:米国日本人医師会、欧州日本人医師会)

  • SNSグループ(Facebook、LinkedInなどの医師コミュニティ)

  • オンラインフォーラム(医学生・研修医のためのフォーラムなど)

これらの団体やコミュニティを通じて、同じ目標を持つ仲間との情報交換や経験者からのアドバイスを得ることができます。

また、海外での医師免許取得を支援する専門のコンサルティングサービスもあります。費用はかかりますが、個別のニーズに合わせたサポートを受けることができます。

まとめ:海外医師免許取得への戦略的アプローチ

海外で医師として働くという夢は、決して手の届かないものではありません。

日本の医師免許を活用する方法と現地の医師免許を取得する方法、それぞれのアプローチには長所と短所があります。自分のキャリア目標や生活スタイル、そして時間的・経済的リソースを考慮して、最適な道を選ぶことが重要です。

海外での医師免許取得は、語学力の強化、必要書類の準備、試験対策など、多くのステップを要する長期的なプロジェクトです。計画的なアプローチと粘り強い努力が成功への鍵となります。

そして、海外での経験を活かして、グローバルな視点を持つ医師としてのキャリアを構築することで、日本の医療にも新たな価値をもたらすことができるでしょう。

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